心が病気を生み出す理由 その② 胸腺篇
心が病気を生み出す理由の第2回目は胸腺篇です。
心が身体に病気をもたらす前提として「免疫の乱れ」があります。
免疫の「乱れ」とは免疫力が低下することもあり、逆に免疫力が過剰に暴走してしまうことも「乱れ」なのです。
その免疫力の働きは免疫細胞の働きです。
免疫細胞は身体の警備をしてくれるおまわりさん的存在。
そのおまわりさんにも様々なタイプがあるのですが、心と密接に関係している胸腺が育て上げるおまわりさんは「T細胞」。その胸腺の役割とT細胞の役割、そして病気と心と免疫のつながりを本日はお話しします。
Contents
T細胞とは??
私たちの体を病原体から守るのが免疫ですが様々な免疫細胞から成り立っています。
その中でもT細胞というものが骨髄にて作られ、胸腺にて育ちます。
T細胞も二種類あり、キラーT細胞とヘルパーT細胞があります。
キラーT細胞は病原体に対して直接攻撃を加える免疫細胞。
そしてヘルパーT細胞がキラーT細胞に指示を出す司令塔的役割の免疫細胞です。
またヘルパーT細胞は抗体を作るB細胞というものに対して指令を出し抗体の産出を指示しているのです。
この二つのT細胞、キラーT細胞、ヘルパーT細胞が互いに手を組んで、指令と攻撃をする。
見事な連携プレーを見せてくれるのです。
だから私たちは病原体の脅威から守られているのですね。
胸腺とは?
胸腺とは胸の上辺、心臓のちょっと上にある臓器ですが、ここで2つのT細胞が育ちます。
胸腺において骨髄で生まれたばかりのまだ未熟なT細胞はトレーニングされ、成熟したT細胞に育つのです。
その際にT細胞はキラーT細胞と、ヘルパーT細胞にと分化します。
ここでのトレーニングにおいて、T細胞は自分自身と敵とを見分ける能力を手にするのです。
例えていうなれば、高校卒業したての若者をトレーニングする「警察学校」のような場所、T細胞は成長し、悪者を見分ける能力を教わるわけです。
胸腺とストレスの関係
ストレスによって胸腺が萎縮すると発表したのは、ストレス研究のパイオニア、オーストリア出身の生理学者ハンス・セリエによってです。
彼は彼の学説の中で、ストレスに対する身体の反応を3つあげています。
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発生
- リンパ腺や胸腺の萎縮
- 副腎皮質の肥大
ここでのポイントは胸腺の萎縮です。
胸腺はストレスによって萎縮するのですが、胸腺の役割はT細胞を育て上げること。
つまり胸腺が萎縮することで、「警察学校」は縮小され十分なトレーニングをT細胞に施せなくなるのです。
そうすればちゃんと成長した成熟T細胞が体内に少なくなり、体内に入ってきた病原体を取り逃がすことになります。
そしてさらに、未熟なT細胞は自己と他者の区別をつけることが難しくなり、自分の組織を攻撃してしまうことにつながるのです。
これは「自己免疫疾患」の原因となるのです。
- 自己免疫疾患とは花粉症を含む様々なアレルギー、リウマチ膠原病にとどまらず、多発性硬化症や潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデスなど自分の身体を自分の免疫細胞が攻撃することで発生する病気です。
また、膵臓のインスリンを分泌するランゲルハンス島を免疫が攻撃することで1型糖尿病なども発生します。
こうしてストレスがもたらす胸腺の萎縮が様々な免疫の乱れを引き起こし、自己免疫疾患をはじめとした様々な病気を引き起こすのです。
まとめ
ストレスがもたらす胸腺の萎縮。
それによって免疫細胞であるT細胞は未熟なまま成長を終え、自己と他の見分けを誤るようになってします。
それにより、様々な自己免疫疾患、糖尿病をはじめとした病気を生み出すことになるのです。
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